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ガソリン大幅値上げです。

メキシコ湾でのハリケーン被害による原油価格高騰の影響を受け、フィンランドでも先週末からガソリン価格が一斉に引き上げられました。

その価格は、なんと1リットルのガソリン(95E/98E)が、約1.50ユーロです!
日本円に換算すると、優に200円を上回ります。
ガソリン大幅値上げです。_d0036358_42084.jpg

(95Eは日本で言うレギュラー、98Eはハイオクで、Dはディーゼル軽油です。)
今まででも1リットルで約1.20ユーロしていて、高いと思っていましたが、今では50リットルのガソリンを給油したら、1万円ですよ、1万円!
軽油(ディーゼル)の価格もガソリンよりは安いですが、それでも1.00ユーロを超えています。

そんな訳で、先週はガソリンや軽油の買いだめに走る市民が大勢いたようです。
日本でもガソリン価格が高騰していると言われていますが、まだまだフィンランドの足元にも及びません。(及んだら困りますが・・・。)
この機会に自動車の利用を控え、環境に優しい生活をする方が、経済的にもメリットがあるのかも知れません。

さて、ここから少しまじめな話。

フィンランドではガソリン車よりもディーゼル車の方が人気があります。
ご存知の方もいると思いますが、ヨーロッパでは一般にガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンのクルマの方が人気で、新型車のスポーティグレードがディーゼルというのも珍しくありません。

日本では、「ディーゼル」=「黒煙モクモク、公害の元凶、発ガン性有り」と悪者になっていますが、フィンランド(ヨーロッパ全体でも)ではガソリンよりクリーンで経済的なエンジンという認識が一般的です。

日本とヨーロッパの公害に関する認識の違いもありますが、とりわけフィンランド(スウェーデンでも)では、別な理由があります。

それは、
「軽油に含まれている公害成分が、他の国(とりわけ日本)で使用されている軽油と較べ、極端に少ない。」
ということです。

この軽油は別名「シティー軽油」と言われ、フィンランドとスウェーデンで販売されている自動車用軽油は、ほぼ100%このシティー軽油になっています。

一般に、ヨーロッパで販売されている軽油は、日本で販売されているものと較べ、軽油中の公害成分が少ないのですが、シティー軽油ではそれが極限にまで低減されています。

公害の元になる硫黄分や芳香族と言ったものは、軽油を精製するときに除去すればいいのですが、この設備費用が莫大になり、結果的に軽油の価格に跳ね返ってきますので、簡単には導入できないのが現状です。

しかしフィンランドやスウェーデンでは国の環境保護に対する積極的な政策や、精製時に業者に負担とならないような優遇税制処置により、10年くらい前から切り替えが完了していました。

ですから、同じディーゼルエンジンのクルマであっても、フィンランドを走っている車は排気ガスもきれいで、尚且つ燃費もいいし、燃料費も安いと、いい事尽くめと言うわけです。

走行距離も日本の何倍(10万、20万キロは当たり前)も走りますので、クルマ自体が割高でも、距離を走る人達にとっては十分償却できて、お釣りも来る計算になるようです。

日本では、自動車メーカーや既に所有しているユーザーに対し、ディーゼルエンジンの排ガスをきれいにする浄化装置の装着を義務付けようとしていますが、結果的にクルマのコストが上がったり、自分で装置を購入しなくてはいけなかったりと、ユーザーに負担を強いる政策が当たり前のように行われています。

ディーゼルの排気ガス規制を長い間緩くしておき、更に精製業者に対しても燃料のクリーン化を指導せず、気が付けば軽油のクリーン化に関して、世界に大きく遅れをとっていたと言うのが実情です。

そして殆ど政策的に何もしないまま放置しておいて、いきなりディーゼルエンジンは公害の元凶だと一刀両断ですから、困ったものです。
日本ではメディアを利用した国策により、国民の殆どはディーゼルエンジンは公害エンジンという認識を持っています。
実際、日本を走るディーゼル車の排ガスはきれいとは言えないのが実情です。
でも、本当に悪いのはディーゼルエンジンじゃなくて、軽油の方だとはあまり知られていません。
そして、ヨーロッパの自動車メーカーがいくら高性能なディーゼルエンジンをアピールしても、日本の公害成分たっぷりの軽油を入れられてしまったら、何の意味もありません。

フィンランドでは、軽油自体が国の政策によって既にクリーンですから、古い車でも新しいクルマでもユーザーに余計な経済的負担が掛かると言うことはありません。

シティー軽油自体は精製にコストが掛かり、そのままでは高価になってしまいますので、その分税金を低くして(国が負担して)普及の後押しをしています。

もっと安い、精製度の低い家庭用軽油もありますが、これをクルマに入れて走っていると高額な罰金(税金)が課せられます。
軽油の色が違うらしく、おまわりさんは怪しいクルマ(排気ガスが汚い)を見つけると、燃料タンクの中まで調べ色を確認するそうです。

高い罰金は、違反行為の良い抑止力にもなるようです。

こんな所にも環境に対する先進的な考えを持つ、フィンランドの良識を見た気がします。
by lapintie | 2005-09-06 04:25 | フィンランド
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